臆病な恋


【詳細】

比率:性別不問2

現代・日常・ラブストーリー

時間:7分~10分


【あらすじ】

大学の学食。

今月に入って何回目かの失恋をした空はいつも通り友人の千秋に報告へと向かう。

いつもなら優しく話を聞いてくれる千秋だが、今日はなんだか冷たくて……


*こちらのシナリオは男女の二人シナリオのイメージで書かせていただいておりますが、どちらの役とも性別不問とさせていただいております。

NL、BL、GL、性別逆転、どれでもお使いいただけます。

その際には一人称の変更、語尾の変更可能でございます。



【登場人物】

空:(そら)

  大学生。

  最近失恋してばかりいる子。元気なムードメーカー。

  本当に好きな人にはなかなか告白できない。

  *作中は女性イメージで書かせていただいておりますが、性別変更可能です

        

千秋:(ちあき)

   大学生。

   空の失恋話を最近聞かされまくってる子。

   面倒見はいいが、親しくなると扱いがちょっと雑になる。

   好きな人になかなか告白できない。

   *作中は男性イメージで書かせていただいておりますが、性別変更可能です

       



●大学の食堂

   端の席で二人で座っている。


 空:(突然机に突っ伏して)なんでなんだよ~!

千秋:(ため息をついて)……なんとなく予想はつくけど……

 空:千秋~

千秋:なんだなんだ、どうした~?

 空:振られた!

千秋:(ため息)お前、それ今月で何回目だよ?

 空:何回目って?

千秋:そうやって告白して、振られて、俺の前で叫ぶの

 空:……二回目?

千秋:俺が知っている限りだと今月に入って六回は聞いてるぞ

 空:……そんなには……

千秋:……なんだったらいつ、どこで、誰に告ったか言ってやろうか?

 空:いやぁ! それはやめて~!

千秋:(ため息)

 空:……千秋の意地悪……

千秋:はぁ?

 空:なんで慰めてくれないの?

千秋:慰めるって……今月に入って七回目の失恋をしているお前をか?

 空:そう!

千秋:(感情をこめずに)残念だったな。まぁ、次頑張れや

 空:雑っ!

千秋:そうか?

 空:そうだよ!

千秋:言葉をかけてやるだけ優しいと思え

 空:ぶぅ~

千秋:なんだよ?

 空:なんか、千秋が冷たい……

千秋:はいはい。俺は冷たいですよ。ご不満だったら他を当たってください

 空:すみませんでした! 謝るから、優しくしてください!

千秋:(ため息)で? 今回は誰に告ったんだよ

 空:え?

千秋:は?

 空:聞いてくれるの!

千秋:……やっぱりやめようかな(席を立つ)

 空:(千秋の腕にしがみつきながら)ヤダヤダヤダ!

千秋:お、おい

 空:聞いてほしい!

千秋:わかった、わかったから。腕を離せ

 空:本当?

千秋:……本当だよ

 空:約束だからね!

千秋:はぁ? 急に重いな……

 空:約束!

千秋:はいはい、約束約束

 空:うん!(千秋の腕から離れる)

千秋:(再び席に着いて)……で?

 空:今日は前期から同じ講義を取っていた人に告白しました!

千秋:おう

 空:以上です!

千秋:は?

 空:え?

千秋:いや、それだけ?

 空:へ? うん、それだけ

千秋:はぁ?

 空:え、千秋? なんで怒ってんの? 

千秋:お前は馬鹿か?

 空:え?

千秋:その報告をするためだけにこの一連のくだらないくだりをやってたのかよ……

 空:え? え?

千秋:……もう、帰る

 空:え~、ちょっと待ってよ、千秋!

千秋:俺はそんな茶番に付き合っている時間はない

 空:茶番じゃないよ! 私は真剣なの! 真剣に振られたの!

千秋:……その割には報告が簡潔だったな

 空:え? そう?

千秋:……お前、最近、軽率じゃないか?

 空:え?

千秋:お前、気が付いてないのか?

 空:何が?

千秋:……お前の失恋報告、段々内容が薄くなってきてんだよ

 空:え?

千秋:最初俺に話に来たときはそんな薄っぺらい内容じゃなかっただろ。相手のどんなところが好きで、相手にどんな風にアピールしてって、こっちが聞いてないのに事細かに報告してきたくせに、今はどうだ。どこの誰誰に告白しました。以上。これがテンプレだ

 空:……

千秋:俺、そんな薄っぺらい報告を聞くのも、相談に乗るのもごめんだから

 空:……千秋

千秋:(席を立って)じゃあ

 空:え、千秋?

千秋:俺、次ゼミだから

 空:ちょっ、千秋!

千秋:じゃあな。もう少し自分のこと大事にしてやれよ

 空:え……

千秋:軽率に誰にでも告白してると、本当に好きな人が出来たときに苦しむぞ

 空:……

千秋、食堂から出ていく

 空:……だって、言えるわけないじゃん

   本当に好きだから、本当に大切だから、簡単に告白なんてできないよ。千秋を失うなんて死んじゃうくらい辛いから。でも、そうだよね……逃げてちゃダメなんだよね……

   あぁ、せめて何か決定打があればな。なんて……あの千秋だもんね……

   好きだよ、千秋



●廊下

   千秋がむしゃくしゃしながら歩いている


千秋:なんなんだよ! 何が『告白しました!』だ

   急にいろんな奴を好きになってるんじゃねぇよ。あいつは馬鹿なのか?

   ……いや、俺も人のこと言えないか。失恋するたびに俺に頼ってきてくれるあいつが可愛いって思うし、出来ることなら俺が幸せにしてやりたいとさえ思ってしまう……

   でも、そろそろ限界なんだよ。俺以外のことで恋愛に関して悩むあいつを見るのは……

   空、俺にしろよ。俺にしとけ

  (ため息をつき)あいつの目の前じゃなければこんなに簡単に言えるのにな……



―幕―




2020.11.17 ボイコネにて投稿

2022.08.23 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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