鏡からの素敵な魔法


【詳細】

比率:性別不問1

ファンタジー・現代

時間:約7分


【あらすじ】

仕事から疲れて帰ってきたあなた。

ふと、鏡に映った自分の姿を見るとそこにはひどい顔をした自分が。

思わず漏れるため息。

次の瞬間、鏡に映っていたのは……


*こちらのシナリオは女性口調で書かせていただいておりますが、性別不問とさせていただいております

 男性が読まれる際には、一人称や二人称、語尾の変更をお願いいたします



【登場人物】

鏡の中の私:鏡に映ったあなたです。



●自宅・夜

   仕事から帰宅する『私』。

   鏡に映る疲れた自分の顔を見てため息をつく。


鏡の中の私:  

今日も一日お疲れ様!

あぁ、ごめんね! 驚かせちゃったね

そうだね。鏡の中から急にしゃべりかけたらびっくりするよね

あぁ、そんなに警戒しなくていいよ

私は貴方だから

あ、信じられないって顔してるね?

まぁ、無理もないか。私がこうやってあなたに話しかけるのは初めてだもんね


改めて、今日も一日お疲れ様でした!

今日もいっぱい頑張ったね~

あなたは優しい人だから、なんでも先回りして動こうとする

『これやってあったらあの子が助かるかな』、『これあった方があの人が助かるよね』って


ん? なんで知ってるかって?

だから、私は貴方だって言ってるじゃん

他人が知らない貴方のこと、私はなんでも知ってるよ?

そう、例えば……あなたが今日職場でした、気付かれなかった気遣いのことも知ってるよ

ふふふ、これで少しは私は貴方だって信じてくれたかな?


本当は気が付いてほしかったよね?

あなたは本当に優しいから人だから気付かれなくてもいいやって思ってるけど

やっぱりありがとうって言われたいよね?


ねぇ、下を向かないで

私は鏡の中から出られないから、抱き締めてあげることは出来ない

でも、今、貴方に声を届けることは出来る

だから、私をちゃんと見て、私の声を聞いてほしい


ありがとう。私の言葉を聞いてくれて。やっぱり貴方は優しい人だね

今日はね、あなたにどうしても伝えたいことがあったんだ


いつも頑張ってて偉いね。あなたは誰よりも素敵だよ

周りの人が気が付かなくても私はあなたの素敵なところ知っている

だからね、たまには自分のこと思いっきり褒めてあげて

『よく頑張った』って。『私ってすごいじゃん』って

それで、自分に何か美味しいものとかご褒美をあげてさ!

そしたら、また明日が来るのが楽しみになるでしょう?


あ、そんなことしちゃダメだって今思ったでしょ?

いいんだよ、そのくらい

あなたは自分に厳しすぎ!

他人に優しく、自分に厳しくって大事だよ。自分の力量を見誤ること程恐ろしいことはないから

でも、あなたならそんなことしないでしょ?

だから、ちょっとだけ自分にも優しくしてあげて?


自分が頑張ってること、あなた自身が否定しちゃダメ

確かに、頑張ってるか頑張っていないかを決めるのは自分じゃない。他人だよ?

でも、だからってあなたがしている努力を認めちゃいけないなんてないでしょ?

それにね、本当にあなたがダメな人なら、私はこんな形であなたの前に出てきたりしない

だから、もし自分が信じられないって言うなら、今は鏡の中の私のことを信じてくれないかな?


ふふふ、ありがとう。じゃあ、そんなあなたに私からとっても素敵な魔法をあげる

何の魔法かって? それは秘密だよ

さぁ、目を瞑って

よしよし、いい子いい子。じゃあ、魔法をかけるね


『あなたはとっても素敵な人だよ。私はあなたのことが大好きです。どんな時でもあなたの味方だからね』

       

はい、もう目を開けてもいいよ

これが私からのあなたへの魔法

あ、何がって顔してる

(嬉しそうに微笑んで)気が付いてないかもしれないけど、今のあなたはとってもいい顔をしてるよ

この部屋に帰ってきた時とはまるで正反対

とっても穏やかな顔をしてる

嘘だと思うなら、この後、鏡に映る自分を見てみて


じゃあ、私はそろそろ行くね

もう、そんな寂しそうな顔しないで

私はあなたなんだから、いつでも会えるよ

だから、『バイバイ』じゃなくて、『またね』


   鏡から自分の顔が一瞬消え、今の自分の顔が映る。

   そこには心なしか穏やかな表情のあなたが映っていた。



―幕―




2021.01.05 ボイコネにて投稿

2022.09.04 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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