等価交換って知ってますか?


【詳細】

比率:男1:女1

現代・ラブストーリー

時間:約10分


【あらすじ】

ちょっとガサツな女性とちょっと女子力が高めの男性のお話です。

等価交換って知ってますか?

欲しいものを手に入れるには同じくらいの対価が必要なんですよ。


【登場人物】

良平:(りょうへい)

   20代。ちょっと女子力が高めの男性。


翔子:(しょうこ)

   20代。ちょっとガサツな女性。



●良平の家・夜

   お風呂上がりで髪の毛を乾かさずに翔子が出てくる。

   良平は先にお風呂から上がってソファでくつろいでいる。


翔子:は~、いいお湯だった~

良平:おう、おかえり……って、こら!

翔子:ん?

良平:お前、また髪の毛乾かしてないの?

翔子:あぁ~

良平:あぁ~、じゃないだろ? いつも言ってるだろ? 髪の毛乾かさないと……

翔子:風邪ひくぞ! でしょ?

良平:わかってるなら、最初からやれ

翔子:だって、めんどくさいんだもん

良平:めんどくさいって……お前、女子だろ?

翔子:うん、女子だよ?

良平:だったら……

翔子:女子だけどめんどくさいものはめんどくさいの~

良平:あぁ、もう……タオル貸して

翔子:へ?

良平:とりあえず、タオルドライだけでもするから、こっち来て

翔子:タオルドライ?

良平:いいから

翔子:は~い


   翔子、ソファのところまで来る。


良平:(クッションを手渡して)はい、このクッション敷いて下に座って

翔子:は~い(座る)

良平:で、その持ってるタオル貸して

翔子:はいは~い

良平:本当に……


   良平、タオルで翔子の髪の毛を拭く。


翔子:うわ~

良平:なに?

翔子:ううん。タオルドライって髪の毛拭くことだったんだね

良平:そう。正確には髪が含んでいる水分を半分くらいタオルで吸い取って半渇きにすることなんだけどな

翔子:へぇ、良平って物知りなんだね

良平:そうか? 女子なら知ってそうなことなんだけどな?

翔子:悪かったわね、女子なのに知らなくて

良平:別に。それが翔子クオリティだからな

翔子:何? 翔子クオリティって

良平:別になんとなくだよ

翔子:そっか

良平:よし、こんなもんかな……翔子、テーブルの上にあるビン取って

翔子:ビン? あ、これ?(後ろ手で良平に渡す)

良平:そう、ありがとう。(ビンからトリートメントを手の平に出して)……このくらいかな?

翔子:ん?

良平:ほら、前向いてる

翔子:は~い。……ん? (匂いを嗅いで)何かいい匂いがする……何の匂い?

良平:ほれ、これの匂い(ビンを渡す)

翔子:ん? 洗い流さないトリートメント?

良平:そ、タオルドライしたついでだし、いつもこういうケしてないだろ?

翔子:うん、こんなのしたことない

良平:……お前は本当に女子か?

翔子:(少しムッとして)何よ? 疑うの?

良平:疑いはしないけど、不安?にはなるかな

翔子:はい?

良平:何?

翔子:(ムスッとして振り向いて良平にキスをする)

良平:っ!

翔子:(ニシシッと笑い)どうだ?

良平:どうだって……

翔子:男の唇はこんなに柔らかくないでしょ?

良平:……いや、俺、男とキスしたことないから分からんし

翔子:(頬を膨らませながら)む~

良平:わかった、わかった。翔子は女の子だよ

翔子:ふふふ、勝った~

良平:勝ったって……本当に……

翔子:何?

良平:何でもない

翔子:……良平は女の子みたいだよね

良平:は?

翔子:だって、女の子が知ってるようなこといっぱい知ってるし

良平:それはお前が無頓着すぎるの

翔子:料理も上手いし

良平:それはただの趣味

翔子:私より女子の服似合いそうだし

良平:……それは俺の身長をディスってるのか?

翔子:それにさ!

良平:(呆れつつ)まだあるのかよ……

翔子:(意地悪そうに微笑みながら)さっき、キスしたとき女の子みたいな声出てた

良平:はぁ?

翔子:かわいかったな~

良平:……忘れろ

翔子:何で?

良平:……

翔子:(良平の様子を見てニヤニヤしながら)や~だ

良平:は?

翔子:だって、さっきの良平めちゃくちゃかわいかったんだもん

良平:忘れろ!

翔子:え~? 忘れてほしい?

良平:当たり前だ!

翔子:じゃあさ、私のお願い聞いてくれる?

良平:……ものによる

翔子:そんな難しくないと思うんだけどな?

良平:……何だよ?

翔子:かわいい良平がもっと見たい!

良平:はぁ?

翔子:あ、もちろん、コスプレさせたいとか変なことさせたいとかそういうんじゃないから安心して!

良平:当たり前だ!

翔子:私は、ただ純粋にかわいい良平が見たいだけなの!

良平:……意味が分からん

翔子:ダメ?

良平:当たり前だろ!

翔子:じゃあ、私もさっきの忘れてあげない

良平:……

翔子:どうする?

良平:……何をすればいいんだよ?

翔子:う~ん、どうしようかな……(少し考え)あ! 普段、良平が言わないようなかわいい言葉を言うってのはどう?

良平:は?

翔子:ね? 簡単でしょ?

良平:……

翔子:やってくれるなら終わった後で追加でご褒美あげる!

良平:……今の言葉、忘れんなよ?

翔子:もちろん! 女に二言はない! (嬉しそうに微笑んで)どうしようかな……じゃあ、最初はベタだけどかわいい感じで「ご主人様!」って感じの言葉言って!

良平:(苦笑して)アバウトな注文だな

翔子:いいから!

良平:はいはい。(深呼吸して)おかえりなさませ、ご主人様

翔子:おぉ!

良平:僕、いい子にしてお留守番してましたよ?

翔子:うん

良平:(上目遣いで)褒めてくれないんですか?

翔子:うん、頑張ったね

良平:(嬉しそうに微笑んで)ご主人様に褒められちゃった。嬉しい!

翔子:うん! かわいい! えっと、次はね……

良平:ターン早っ! 

翔子:いいの! とにかくいっぱい聞きたいだけだから!

良平:(小声で)もう、完全に楽しんでんな……

翔子:次は、後輩風とかどう?

良平:はいはい。(深呼吸して)遅いですよ、先輩

翔子:おぉ!

良平:いつまで俺のこと待たせるつもりですか? 本当に、先輩は俺がついてないとダメなんですね

翔子:おぉ、ツンデレ?

良平:別に、事実を言ったまでです

翔子:そっか

良平:で? 今日はどうするんですか?

翔子:へ?

良平:この後は……

翔子:そうだな~

良平:先輩、とりあえず、俺の隣に座ってください

翔子:ん? はいはい


   翔子、良平の隣に座る。

   良平、翔子を押し倒す。


翔子:へ?

良平:おしまい

翔子:はい?

良平:もう十分かわいい俺を堪能しただろ?

翔子:え? ま、まぁ……もうちょっとほしいけど……

良平:翔子?

翔子:いえ、十分いただきました!

良平:ん。じゃあ、さっそくご褒美頂戴

翔子:へ?

良平:追加でくれるんでしょ?

翔子:あぁ! うん、冷蔵庫に良平の好きなアイス買ってきてあるよ。高いヤツ

良平:うん

翔子:取ってきてあげるから、ちょっとどいてくれるかな?

良平:(意地悪そうに微笑んで)ん?

翔子:「ん?」じゃなくて……

良平:翔子はアイスだけで俺へのご褒美が成り立つと思ってたの?

翔子:へ?

良平:翔子、等価交換って知ってる?

翔子:等価交換?

良平:そう。俺のこの恥ずかしさがアイスで同等とかならないでしょ?

翔子:えっと……それは……

良平:(にっこり笑って)翔子、わかってるよね?

翔子:いや~! ごめんなさい!



―幕―



2020.09.15 ボイコネにて投稿

2022.10.16 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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