【詳細】
比率:男1:女1
現代・ラブストーリー
時間:約10分
【あらすじ】
遠距離恋愛中のとあるカップルのお話です。
あまりにも無防備な春陽のことが心配な悠斗は……
【登場人物】
春陽:(はるひ)
20代。
悠斗の彼女。無防備すぎて悠斗は心配です。
悠斗:(ゆうと)
20代。
春陽の彼氏。年上の包容力のある人。
●春陽の部屋
お風呂上がり、髪をタオルで拭きながらソファに座り電話をかけている春陽。
春陽:あ、もしもし?
悠斗:もしもし
春陽:遅くなっちゃってごめんね
悠斗:ううん、大丈夫だよ
春陽:ありがとう。今日もお仕事お疲れ様
悠斗:ありがとう。春陽もお疲れ様
春陽:うん(嬉しそうに微笑む)
悠斗:ん? どうしたの?
春陽:(嬉しそうに微笑みながら)ううん、なんでもない
悠斗:何? 教えてよ
春陽:本当に何でもないよ
悠斗:それでも聞きたいんだ。こうやって離れていて一緒にいられる時間が少ない分、どんな些細なことでも春陽が嬉しそうしていることを知りたいんだよ
春陽:悠斗さん……
悠斗:……ごめん、嫌だったかな?
春陽:ううん、そんなことない。嬉しいよ。私のこと思ってくれてるのが分かるから
悠斗:(ほっとして)よかった。それで、どうしたの?
春陽:う~んと……何だっけ?
悠斗:さっき笑ってたから
春陽:あぁ! (思い出して嬉しそうに微笑んで)なんだと思う?
悠斗:え?
春陽:私はどうして笑ったでしょう?
悠斗:(少し苦笑して)わからないな。教えて?
春陽:え~? 考えて?
悠斗:う~ん……面白い番組を見てた?
春陽:さっきお風呂からあがったばっかりだからテレビは付けていません
悠斗:じゃあ、今日何かいいことがあった?
春陽:確かにいいことはあったけど、それじゃありません
悠斗:そっか。いいことあったんだね
春陽:うん
悠斗:それは良かった
春陽:だって……
悠斗:ん?
春陽:こうやって悠斗さんと電話出来てるんだもん
悠斗:……っ……
春陽:悠斗さん?
悠斗:……ううん、なんでもないよ
春陽:そう?
悠斗:うん。そっか、それじゃあ、なんだろうな……あ! 分かった!
春陽:なに?
悠斗:コンビニの新作スイーツが手に入った!
春陽:あっ! そっか! 今日新商品の発売日だった!
悠斗:あれ? 忘れてたの?
春陽:忘れてた。今日、悠斗さんと家に帰って話すってずっと考えてたから、スイーツのことなんてすっかり頭になかったよ
悠斗:あぁっ……
春陽:ん? 悠斗さん、どうしたの?
悠斗:……もう、かわいいこと言わないでよ
春陽:ん?
悠斗:(ため息)もう、これで無自覚だからな、この子は……
春陽:ん? 悠斗さん? 本当にどうしたの?
悠斗:ううん、何でもないよ。そっか、スイーツも違うんだね
春陽:……うん
悠斗:春陽?
春陽:なに?
悠斗:今から買いに行こうなんて思わないでね?
春陽:え?
悠斗:この電話終わってから近くのコンビニに行こうなんて考えないでね
春陽:……
悠斗:ね?
春陽:……は~い
悠斗:本当にこの子は……
春陽:(小声で)なんでバレちゃったのかな?
悠斗:それくらいわかるよ
春陽:え?
悠斗:春陽の考えてることくらい分かるよ
春陽:(少し不貞腐れて)それは私が単純ってことですか?
悠斗:違います
春陽:じゃあ、なんでですか?
悠斗:俺が春陽のことが好きだからです
春陽:へ?
悠斗:へって、なに驚いてんの?
春陽:だ、だって、悠斗さんが急に変なこと言ってくるから!
悠斗:変なこと?
春陽:そ、そう!
悠斗:変なことなんて言った覚えないんだけどな
春陽:言った!
悠斗:なんて?
春陽:……
悠斗:俺、何か言ったっけ?
春陽:……悠斗さんが……
悠斗:うん
春陽:私のことを好きだからって……
悠斗:うん、言ったね。別に変なことじゃないよね?
春陽:……
悠斗:だって、俺が春陽のこと好きなのは事実だし、ね?
春陽:くぅっ……じゃあ、悠斗さんは私のことなら何でも分かるんですね!
悠斗:うん
春陽:だったら、さっきの! なんで私が笑ってたか当てて! さっきから外してばっかり!
悠斗:あぁ、それか……いや、検討はついてるんだけど……
春陽:けど?
悠斗:間違ってたら悲しいし、第一、俺そこまで自信持てないなって……
春陽:はい?
悠斗:だって、そうであってほしいって思うけど、その答えが合ってたら合ってたでやっぱり春陽に寂しい思いさせてるんだなって思うし……
春陽:……言ってみて……
悠斗:(苦笑して)う~ん
春陽:言って!
悠斗:分かったよ。春陽が笑ってくれていたのは、俺と久しぶりに話せるから、だよね?
春陽:……
悠斗:違った?
春陽:……あってる
悠斗:…ごめんね
春陽:え?
悠斗:春陽に寂しい思いさせちゃって
春陽:それは悠斗さんのせいじゃないでしょ? お仕事なんだもん
悠斗:それでも。本当なら休みの日とか時間作ってそっちに行きたかったんだけど
春陽:いいの! 無理はしてほしくないの!
悠斗:春陽……
春陽:私が自分の意思でこっちで待つって決めたの。だって、今のそのお仕事が悠斗さんのやりたいことに繋がるなら応援したいから。だから、悠斗さんが謝ることじゃない!
悠斗:うん、わかった
春陽:……私の方こそ、ごめんなさい……
悠斗:え?
春陽:本当なら、私が仕事を辞めて悠斗さんについていけばよかったのに……
悠斗:それこそ、春陽が謝ることじゃない
春陽:だって!
悠斗:今の仕事は春陽のやりたいことなんだろ?
春陽:……うん
悠斗:だったら、俺はそれを辞めてほしくない
春陽:悠斗さん…
悠斗:もしかしたら、将来的に一旦仕事をお休みしたりしなきゃいけないことが出てくるかもしれないけど。でも、俺は春陽が納得するまで、もうやり切った!って笑って言えるまで仕事を続けてほしいって思うよ
春陽:……うん……
悠斗:あぁ、もう! やっぱり、正解だった……
春陽:え?
インターホンが鳴る。
春陽:え? 誰だろう、こんな時間に……
悠斗:ん? どうしたの?
春陽:誰か来たみたい?
悠斗:こんな時間に?
春陽:うん。ちょっと出てくる
悠斗:あ、春陽……
春陽:なに?
春陽、急に後ろから抱きしめられる。
春陽:……っ……
悠斗:不用心
春陽:え?
悠斗:こんな時間にインターホンが鳴っても出ちゃダメ
春陽:え? 悠斗さん?
悠斗:うん
春陽:ほ、本当に?
悠斗:うん、ただいま
春陽:ゆ、悠斗さん……
悠斗:泣かないで、春陽。ごめん、脅かしすぎちゃったね
春陽:……びっくりした
悠斗:ごめんね。でも、こんな時間にインターホンの対応したり外のコンビニ行ったりしたらこういうこと俺以外の男にされちゃうかもしれないってこと覚えといてね
春陽:はい……
悠斗:ん。ごめんね、春陽。もう大丈夫だよ
春陽:……本当に悠斗さんだ
悠斗:うん。俺だよ
春陽:どうしてここにいるの?
悠斗:どうしても春陽に会いたくなっちゃって、仕事放り出してきちゃった
春陽:え!
悠斗:(苦笑して)嘘だよ。前倒しで仕事終わらせて有給申請してきた。三日間しかこっちにいられないけど……
春陽:本当に?
悠斗:本当。春陽、連休って言ってたでしょ? だから、いっぱい二人で過ごそうね
春陽:……うん
悠斗:春陽は何かしたいこととかある?
春陽、そっと悠斗の胸に顔をうずめる。
春陽:何でもいい
悠斗:え?
春陽:悠斗さんと一緒にいられるなら何でもいい
悠斗:何でもいいか~。じゃあ、明日起きたら二人でゆっくり考えようか
春陽:うん
悠斗:春陽?
春陽:なに? 悠斗さん
悠斗:もうちょっとだけ俺のこと待っててくれるかな?
春陽:うん、待ってるよ
悠斗:ありがとう。今度、春陽のところに長期で来るときは二人で一緒に部屋を探しに行こうか?
春陽:え?
悠斗:(優しく微笑んで)俺、こう見えても優秀なんだよ?
春陽:え? どういう……
悠斗:最初の約束よりも早くこっちに戻ってこられそうだからさ
春陽:嘘!
悠斗:本当
春陽:本当?
悠斗:うん
春陽:悠斗さん
悠斗:ん?
春陽:大好き!
―幕―
2020.09.02 ボイコネにて投稿
2023.03.02 加筆修正・HP投稿
お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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