【詳細】
比率:性別不問1
現代・ラブストーリー
時間:約5分
【あらすじ】
夕方。
テーブルにいつもよりちょっと豪華な食事を並べる千里。
今日は同棲して半年の記念日です。
*こちらのシナリオは女性口調で書かせていただいておりますが、性別不問とさせていただいております
男性の方が読まれる際は、一人称や二人称、語尾の変更をお願い致します
【登場人物】
千里:(ちさと)
恋人と同棲して半年。
普段は素直になれないけど、今日くらいは素直になりたい。
●家・リビング・夕方
テーブルにいろいろな料理を並べる千里。
千里:
「(息をついて)これでよし! って、張り切りすぎちゃったかな」
テーブルの上に並ぶいつもよりちょっとだけ豪華な料理を見て苦笑が漏れる
「あぁ、我ながら単純……いや、浮かれすぎだな」
ガラじゃないことは重々承知だ
一年前の私が今の私を見たらドン引きされるのもわかっている
それでも、嬉しいものは嬉しんだから仕方がない
「今日で半年か……早いなぁ……」
壁にかかっているカレンダーの日付に着いている丸を見てまた口元が緩む
彼と同棲して今日でちょうど半年。だから、自分でもわかるくらい浮かれている
ずっとやってみたかった、半年記念のお祝い。もとい、ハーフアニバーサリーパーティー
同期や後輩からそんなのがあるって聞いて、実はちょっと憧れていた
でも、私自身そんなキャラじゃないし、何より付き合って半年の時はお互い仕事とかで忙しくてバタバタしていて、気が付いたら記念日は終わっていた
あの時の私は、一週間後にその事実に気が付いて誰にもばれないように凹んだ
だからこそ、今回こそはと思ってカレンダーにも印をつけて、希望休も出して、今日という日を迎えた
「だけど、みんなのあの反応はどうなのよ……いや、わからんでもないけど……」
私がどうしてもこの日に休みが欲しいと言ったとき、先輩の目がいつもの倍以上に大きくなったのは分かった
そして、「どうして?」と先輩が訊ねる前に、近くにいた同期が騒ぎ出す
「半年記念だもんね!」と
そこからは昼休みだと言うのにみんなが集まってきて質問攻めにあった
「どんなことするのか」とか、「場所は?」、「プランは?」と矢継ぎ早に聞かれた
しまいには昼休みだけでは足りなくて、強制参加の『夜のお食事会』という名の『質問攻め会』を居酒屋で開催された
みんなにからかわれたけど、なんだかんだ自分のことみたいに喜んでくれて、祝福してくれて
あぁ、私はここで仕事していてよかったなって心の底から思えた
「でも、流石にあの質問は恥ずかしかったな……」
お食事会の最中に突如始まった強制惚気
彼のどこが好きなのかとか、告白の言葉はとか根掘り葉掘り聞かれた
もちろん、恥ずかしすぎて答えられなかったけど!
「……どこが好きなのか……」
改めて考えてみる。彼のどこが好きなのか
まずは、優しい笑顔
その笑顔を見るだけで、とても幸せな気持ちになる
嫌なことがあって私の中で暴れている鬼が、スッと大人しくなってしまうから不思議だ
それから、心地が良い声
聞いていると落ち着いてきて、いつの間にか眠っちゃってるなんてこともしばしば
あとは、人にすごく優しいところ
私だけじゃなくて、元気がない人とか、困っている人とかを放っておけないところは彼の人としての魅力だと思う
「でも、心配になることもあるんだよな~」
そうやって人の不調とか変化には目ざといくせに、自分のこととなると無頓着になる
他の人や私に向けてくれている優しさの半分くらい自分に向けてほしいものだ
まぁ、本人にそんなこと言ったところで「そんなことない!」って力説されそうだし、なんだったら論破されそうだから言わないけど……
その分私が気を付ければいいか
でも、それがバレたら盛大に拗ねそうだ
そこはきっと男のプライドってやつなんだろうけど、私にはそれが可愛く見えてしまうから重症だ
「(時計を見て)あ、そろそろだな」
いろいろなことに思いを馳せていたらいつの間にか時計はもうすぐ彼が帰ってくる時間を指していた
さぁ、そんな言葉で出迎えようか
ありがとう? 大好き?
それはもちろんだけど……やっぱり一番は……
「おかえりなさい!」
ありったけの大好きとありがとうを込めてあなたを笑顔で出迎えるんだ
―幕―
2021.08.25 ボイコネにて投稿
2023.12.14 加筆修正・HP投稿
お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
Special Thanks:chao様
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