かわいい悩み事


【詳細】

比率:男1:女1

現代・ラブストーリー

時間:約10分



【あらすじ】

とあるカップルの日常です。

『かわいい君に頼られたい』の後日談でございます。


付き合って一年くらいたった頃。

スマホとにらめっこしている香奈。凄く悩んでいるようですが……



【登場人物】

香奈:(かな)

   20代。拓海の彼女。

   スマホとにらめっこ中。


拓海:(たくみ)

   20代。香奈の彼氏。

   香奈のことが大好き。



●拓海の部屋・夜

   お風呂からあがってくる拓海。

   香奈はソファでスマホとにらめっこしている。


香奈:う~ん……

拓海:香奈、あがったよ

香奈:う~ん……

拓海:香奈?

香奈:これもなぁ……

拓海:(後ろから抱きしめて)か~な? 

香奈:きゃっ! ちょっと拓海、びっくりさせないでよ

拓海:ごめんごめん。びっくりさせるつもりはなかったんだけど、何回呼んでも返事なかったから

香奈:え? あ、ごめん!

拓海:別にいいよ。そんなに集中して何見てたの?

香奈:ん? これ


   香奈、拓海にスマホの画面を見せる。


拓海:お部屋探しサイト?

香奈:そう。私、再来月更新の書類の締め切りだし、ならいっそ引っ越そうかなって

拓海:そうなんだ?

香奈:うん

拓海:そっか

香奈:引っ越しするなら本当はもっと早く物件探さなきゃだったんだろうけど、すっかり忘れてて。昨日気が付いてさ

拓海:なるほどね。で、今慌てて探してると?

香奈:そう

拓海:ふ~ん……

香奈:拓海?

拓海:なに?

香奈:なんで不機嫌なの?

拓海:別に。で、なんで引っ越ししようと思ったの? 今の家気に入ってるって言ってなかったっけ?

香奈:うん、気に入ってはいるんだけど……

拓海:だったら、そのまま更新でもいいんじゃないの?

香奈:でもね……

拓海:なに? もしかして何かあったの?

香奈:え?

拓海:いや、住んでて何か嫌なことでもあったのかなって

香奈:ううん、そんなんじゃないよ

拓海:じゃあ……

香奈:マイナスな理由じゃないんだ。ただ、ちょっと遠くて……

拓海:え?

香奈:今の家だと拓海の家までちょっと遠くてさ

   もうちょっと近かったら拓海ともっと一緒にいられるのになって

拓海:あぁ、もう……香奈っ!


   拓海、香奈を抱きしめる。


拓海:本当にかわいい

香奈:もう……だから言いたくなかったのに……

拓海:なんで?

香奈:……は、恥ずかしいから

拓海:(嬉しそうに微笑んで)かわいい

香奈:もう!

拓海:俺は嬉しいよ? 香奈が俺たちのために真剣に悩んでくれて

香奈:……

拓海:でも、なんで先に俺に相談してくれないのかな?

香奈:だから、それは忘れてて……

拓海:いや、タイミングじゃなくて……

香奈:ん?

拓海:(苦笑して)うん、そうだったよな。香奈はこういう子だったよな

香奈:(ちょっとムッとして)こういう子って何よ?

拓海:(笑いながら)こういう子はこういう子

香奈:だから、何よ!

拓海:(香奈にキスをして)かわいい子ってこと

香奈:っ!

拓海:本当に香奈はかわいいな

香奈:か、かわいくない!

拓海:かわいいよ

香奈:かわいくない!

拓海:(苦笑して)拗ねるなって

香奈:もう知らない! はい、もう離して!

   私は物件探すんだから。拓海はキッチンにある麦茶でも飲んでなさい!

拓海:あ、新しく作ってくれたんだ

香奈:そりゃ、冷蔵庫開けたらなかったから

拓海:ありがとう

香奈:……はい

拓海:はいって。もう怒んないでよ

香奈:別に怒ってません!

拓海:怒ってる

香奈:怒ってない! ほら、離してよ!

拓海:ダメ。ごめん、香奈がかわいすぎてつい……

香奈:……物件探すんだもん……

拓海:ねぇ、香奈?

香奈:なに?

拓海:なんか、このタイミングに便乗したみたいでかっこ悪く聞こえるかもしれないんだけどさ

香奈:なに?

拓海:香奈、その物件探しやめない?

香奈:え?

拓海:ここに……俺の家に来ないか?

香奈:え……

拓海:付き合ってもうすぐ一年は経つし、いいタイミングかなって思うんだけど……

香奈:……

拓海:どうかな?

香奈:どうかなって……

拓海:嫌?

香奈:嫌じゃない! 嫌じゃないけど……

拓海:嫌じゃないけど?

香奈:私でいいの?

拓海:ん?

香奈:だって一緒に住むってことは同棲するってことだよ?

拓海:そうだな

香奈:プライベートの時間が減るってことだよ

拓海:家に帰ってきたらいつでも香奈に会えるってことだろ?

香奈:それはそうだけど……

拓海:いいよ

香奈:え?

拓海:俺はいつでも香奈と一緒にいたい。だから、俺の時間、香奈にあげる

香奈:拓海……

拓海:あ、でも、もちろん、香奈が嫌だって言うなら今まで通りでいい

   今度、俺の契約更新の時に新しい家探そう。二人の個人の部屋が持てるような……

香奈:嫌じゃない!

拓海:香奈?

香奈:勝手に話し進めないで! 嫌じゃないから!

   そりゃ、恥ずかしいし、いろんなことあって一人になりたいとか思うことがあるかもしれないけど、拓海と住むの嫌じゃないから!

拓海:香奈

香奈:……

拓海:嬉しい、香奈がそう思ってくれて

香奈:……

拓海:じゃあ、もう物件探しは終わりでいいね

香奈:……うん

拓海:なら今度は引っ越しのことについて話し合おうか

香奈:え?

拓海:うちに来てくれるなら、いろいろ準備しなきゃでしょ?

香奈:そうだね

拓海:俺たちでできることだけならいいけど、業者に頼まないといけないこともいっぱい出てくるだろうから

香奈:うん

拓海:さしあたっては来週の休み、久々に香奈の家に行ってもいい?

香奈:うん。ねぇ、拓海?

拓海:なに?

香奈:ありがとう

拓海:いえいえ

香奈:これからもよろしくお願いします

拓海:ん? それは逆プロポーズ?

香奈:はい?

拓海:嘘、冗談だよ

香奈:もう……

拓海:香奈が嫁いでくる挨拶みたいなこと言うから

香奈:……別に、そう受け取ってもらってもかまわないけど……

拓海:あぁ、もう……

香奈:なに?

拓海:ダメだから

香奈:え?

拓海:プロポーズはちゃんと俺からさせて

香奈:……はい

拓海:(優しく微笑んで)ちゃんとしたいから、もうちょっとだけ時間をちょうだい

香奈:いくらでも

拓海:え?

香奈:……私には拓海しかいませんので……

 


―幕―




2020.09.04 ボイコネ投稿

2024.05.31 修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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