紫陽花の咲き乱れるお寺にて


【詳細】

比率:男1:女1

日常・ラブストーリー

時間:5分~8分


【あらすじ】

紫陽花が満開のお寺を訪れた仁晴と知世。

ウキウキな知世に反して、仁晴の表情は暗くて……


【登場人物】

仁晴(きみはる):知世の彼氏。結婚を前提にお付き合いをしている。        

知世(ともよ):仁晴の彼女。結婚を前提にお付き合いをしている。




●寺の参道・昼

   紫陽花が綺麗に咲いている


知世:わぁ、綺麗な紫陽花だね~

仁晴:……

知世:やっぱり、ちゃんと手入れが行き届いているからかな? 近所で見かける紫陽花よりも鮮やかに咲いているように見えるよ

仁晴:……

知世:(パンフレットを見て)え~っと、あ、奥に行くとまた違った色の紫陽花が見られるらしいよ! 行ってみよう!

仁晴:……ごめん

知世:ん? 何が?

仁晴:……このお寺のこと、全然知らなくて……その……

知世:ん? あぁ、そのことか。まだ気にしてたの?

仁晴:だって……

知世:知らなかったら仕方ないでしょ。きみくんに他意はないってことわかってるから大丈夫だよ

仁晴:でも、ちゃんと下調べするべきだった……まさかあんな謂れがあるなんて……

知世:まぁね。確かに、付き合いたてのカップルとかだったらやばかったかもね~

仁晴:やっぱり!

知世:あぁ、落ち込まないでよ~!

仁晴:……今回は本当にいい勉強になりました。お寺ってなんとなく、良い場所で精神安定とか浄化とかの効果があるパワースポットのイメージしかなかったんだけど、違うんだな……

知世:そうだね。お寺だけじゃなくて神社とかもそうだけど、その土地所縁の何かだったり、そこを最後に使っていた人たちだったりのエピソードがついて来るところも多いわよね。大きい神社とかお寺とかだと特に。うちの近くの神社も何かあるのかな。今度調べてみよ~

仁晴:俺も今度からこういうところに誘うときは調べてからにさせていただきます!

知世:(笑って)そうだね~。まぁ、私とだったら大丈夫だと思うけど

仁晴:……その心は?

知世:だって、私ときみくんでしょ?

仁晴:答えになってない……

知世:もう! 例えばだよ?

仁晴:うん

知世:ここのお寺って縁切り寺って言われてるでしょ

仁晴:……うん

知世:あぁ、落ち込まないでって!

仁晴:う、うん

知世:もう!

仁晴:ごめん

知世:続けていいですか?

仁晴:はい

知世:でも、それって、女の人が自分で駆け込んだから縁切り寺って言われるようになったんだよ?

仁晴:え?

知世:時代的な背景があって、昔は女の人から「離婚してください!」って出来なかったんだって

仁晴:なんかどこかで聞いたことあったけど……あれって侍とか偉い人だけじゃなかったんだ?

知世:そうみたい。旦那さんの方からは簡単に出来たみたいなんだけどね。まぁ、昔は男性が社会のルールみたいな時代があったしね。で、それでろくでもない男と結婚しちゃって困った女性が多くいてね。それを可哀そうに思った時の権力者の女性が建ててくれたお寺がここなんだって

仁晴:そうなんだ

知世:ね? だから大丈夫でしょ?

仁晴:え?

知世:私はここに自分から駆け込んだりしないよ? 寧ろ、きみくんと一緒に「お花見せてもらってもいいですか~」って訪問しちゃう方! ね、状況が全然違うでしょ?

仁晴:……確かに

知世:神社やお寺にいろいろな言い伝えとか所縁があっても、それを目的として来なければ何の効果もなって私は思うの

仁晴:うん

知世:それに!

仁晴:ん?

知世:今日は私のためにここに連れてきてくれたんでしょ?

仁晴:やっぱり気が付いてた?

知世:もちろん! 私がこないだ買い物の帰り道に「いろんな色の紫陽花が見たい」って言ったの覚えててくれたんでしょ?

仁晴:うん

知世:ありがとう。嬉しかったよ

仁晴:……そっか。ならよかった

知世:でも、流石に行き先聞いたときはびっくりしたけど

仁晴:……すみませんでした

知世:と、言うわけで、帰りに甘味でも食べて帰りましょう

仁晴:え?

知世:この辺においしいお店があるということなので

仁晴:はい。ごちそうさせていただきます

知世:(微笑んで)きみくん

仁晴:なに?

知世:ありがとう、大好きだよ。これからもよろしくね?

仁晴:うん。俺も知世のこと大好きだよ

知世:ね? 大丈夫だったでしょ?

仁晴:そうだね


―幕―




2021.06.01 ボイコネにて投稿

2022.06.23 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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