【詳細】
比率:女1
現代・日常・ラブストーリー
時間:約5分
【あらすじ】
七月七日、七夕の日。
遠方にいる彼を思いながら空を見上げる貴女。
綺麗な青空。
でも、心は晴れなくて……
【登場人物】
私:遠距離恋愛中の彼がいる
******************
●自宅のアパートのベランダ・昼
空を見上げながら
私:
貴方は今何をしていますか?
って、お仕事か。平日だもんね
私は、今、一人アパートのベランダから空を見上げています
今日は数年ぶりに晴れのようです
昨日まで雨の日が続いてたのにね
七月七日って毎年なんでなのかわからないけど、雨になることが多いよね
『催涙雨』だっけ?
織姫様と彦星様がやっと会えて、嬉しくて流した涙が雨になったとか、逆に会えないのが悲しくて零した涙が雨になったとか、いろいろな話があるよね
私は、嬉しい涙の雨だったらいいなって思う
……私も、涙を流したら、貴方に会えるのかな……
なんて、馬鹿な考えだよね
二人は会えたから涙を流したんだもん。泣いたから会えたわけじゃない
……分かっていても、この時期に雨が続くとちょっと寂しくなるんだ
なんでだろう……
雨が降ったから私たちも会えなくなるとかじゃないのにね
空の二人とは違って、声を聞こうと思えば電話も出来るし、他愛のないやり取りをラインですることだって出来るのに
こんなに便利な世の中なんだ。いくらでも手段はあるのにね
でも、なかなかその便利な手段を使えずにいる
疲れて帰ってきた貴方に私は負担になっていないかとか、生活のリズムを崩す原因になってないかとか……貴方の邪魔になってないか……とか……
(苦笑して)ダメだね。無限ループに突入しちゃう
勝手に悪いことばっかり想像して、気持ちがどんどんしぼんでいっちゃう
……貴方の声が聞きたいよ……
(深呼吸して)ダメダメ! 落ち込まない!
遠距離になるってわかったときにちゃんと覚悟は決めたじゃん! 頑張れ、私!
(通知の音がして)あれ? この時間、珍しい……
っ!
もう、なんなの……全部お見通しなの?
本当に貴方には敵わないな……
いつもならこんな時間に来ることがない貴方からの連絡に、しぼんでいた気持ちに空気が入る
画面には、『今日そっちに行ってもいい?』の文字
もちろん、すぐに返事を返す
文字を入力して送信するまでの速さに我ながら苦笑が漏れる
でも、嬉しいんだから仕方ない!
きっと今私の顔は嬉しすぎて緩みまくってる。口角がいつもより上がっているのが自分でもわかる
さぁ、今日来てくれる彼のためにもいろいろ準備しなきゃ
会社終わりに新幹線に飛び乗ってきてくれるであろう彼のためにご飯を準備して……
来てくれるってことは何日間かお休みのはずだから、お泊りの用意をして!
こういう時、在宅ワークであることを不謹慎にもありがたく思う
今日は、久々にベランダで夜空を見ながらお酒でも飲もうかな?
私のために川を渡ってきてくれる、素敵な彼のために、そして空の上の二人のためにも素敵な日にしよう
―幕―
2021.07.06 ボイコネにて投稿
2022.07.04 加筆修正・HP投稿
お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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