831


【詳細】

比率:男1:女1

現代・日常・ラブストーリー

時間:約8分


【あらすじ】

「月が綺麗ですね」

彼からのあの言葉が欲しい彼女。

「8月31日って何の日か知ってる?」

彼女からあの言葉を聞きたい彼。


二人がお互いに求める言葉は……


【登場人物】

佑真(ゆうま):詩の彼

詩(うた):佑真の彼女



●家・夜

   ソファでスマホを見ている佑真


佑真:なるほどね……

詩:ゆ~う~ま~

佑真:ん? どうした~?

詩:ふふふ~

佑真:ど、どうした?

詩:佑真、今日は月が綺麗ですね!

佑真:え?

詩:月が、綺麗ですね!

佑真:あ、あぁ。えっと……(外を見て)確かに、綺麗だな

詩:……

佑真:でも、来月とかにもめちゃくちゃ綺麗な月が見られる日があるらしいぞ

詩:……

佑真:えっと、いつだったかな……(スマホで調べだす)

詩:……じゃない……

佑真:え?

詩:そうじゃないのよ!

佑真:えぇ?

詩:これだから理系は!

佑真:おいおい、今それ関係ないだろ?

詩:ありよ! 大ありよ!

佑真:はぁ?

詩:佑真、本当に知らないの?

佑真:何が?

詩:『月が綺麗ですね』

佑真:ん? だから、そうだねって……

詩:違う!

佑真:えぇ……

詩:夏目漱石!

佑真:夏目漱石?

詩:待って、そこから?

佑真:いや、いくら詩に理系理系言われる俺でも夏目漱石は知ってるよ。有名な文豪だろ?

詩:夏目漱石を知っててこれを知らないの!

佑真:だから、何のことだよ?

詩:だから! あっ……

佑真:(楽しそうに)だから?

詩:……佑真、知ってるでしょ?

佑真:何のことかな?

詩:その顔は佑真が意地悪するときの顔だ!

佑真:ん?

詩:絶対知ってるな! 嘘つき!

佑真:(笑って)もう少しだったのにな~

詩:なんなの、理系男子の癖に!

佑真:いや、それこそ今はそれ関係ないだろ

詩:うっさい!

佑真:おぉ……

詩:ふんっ!

佑真:あぁ、ごめんって……

詩:知らない!

佑真:詩

詩:……

佑真:う~た~?

詩:知らない!

佑真:可愛いな

詩:可愛くない!

佑真:(小声でつぶやく)それなら……

詩:?

佑真:詩、8月31日!

詩:え?

佑真:8月31日の今日って何の日か知ってる?

詩:え? え?

佑真:知らないの?

詩:きょ、今日?

佑真:そう、今日

詩:……大事な日?

佑真:そうだね。大事な日だよ

詩:……何かの記念日?

佑真:でもある

詩:……

佑真:詩?

詩:……ごめんなさい

佑真:え?

詩:ごめんなさい。本当に分からない……今日って何の記念日? 私たちが付き合った日じゃないのはわかってる。婚約した日でもなくて、佑真の誕生日でもないってこともわかってるんだけど……ごめんなさい……

佑真:っ! あぁ、もう!

 

   佑真、歌を抱きしめる


詩:ゆ、佑真?

佑真:意地悪してごめん

詩:え?

佑真:ちょっと悔しかったというか、もっと詩の可愛い所が見たくなったというか……

詩:どういうこと?

佑真:……

詩:佑真?

佑真:詩の口から聞きたいなって思ったんだ。月が綺麗ですねじゃなくて

詩:え?

佑真:詩、今日ってアイラブユーの日なんだって

詩:アイラブユーの日?

佑真:そう。英語圏では8月31日は数字の語呂合わせでアイラブユーの日って言われてるんだよ

詩:じゃ、じゃあ、私たちの記念日ではない?

佑真:うん。世界の記念日だね

詩:……よかった……

佑真:詩?

詩:もう! 何か大切な記念日忘れちゃったのかと思ってびっくりした!

佑真:ごめん

詩:佑真のバカ! 意地悪! していい意地悪とダメな意地悪があるでしょ!

佑真:ごめんって、あぁ、謝るから暴れないで

詩:嫌だ!

佑真:詩~

詩:意地悪な佑真なんて嫌いだ!

佑真:……本当に?

詩:え?

佑真:本当に嫌い?

詩:……

佑真:詩?

詩:……嫌いじゃない……

佑真:うん。俺も詩のこと、大好きだよ。意地悪してごめんね

詩:……ううん。私もごめんなさい……

佑真:ありがとう。あぁ、でも……今日はこっちの言葉の方が良いかな

詩:え?

佑真:愛してるよ、詩。ずっと俺の傍にいてください

詩:……わ、私も、愛してます……

佑真:うん。ありがとう

詩:う~

佑真:ん?

詩:……負けた気がする……

佑真:ほら、俺、理系男子だから、先略巡らせるのは得意なんで。ちなみに、めったに愛してるって言わないのは特別な時に口にしたいなって思っているからです。いつも詩のこと可愛いし、愛おしいって思ってる。だから、心配しないで

詩:……わかってる。佑真の言葉とかしてくれることにはいっぱい愛情が詰まってること

佑真:ありがとう

詩:でも! 

佑真:ん?

詩:たまには聞きたいの! なんでもない日でも

佑真:そっか、わかった。じゃあ、我慢しない

詩:え?

佑真:(耳元で)詩、愛してるよ

詩:っ!

佑真:あれ? どうしたの、詩?

詩:っ! 絶対わかってやってるでしょ!

佑真:ん~? 何のこと?

詩:佑真!

佑真:そうだ、今日はアイラブユーの日だから、1個詩に教えておこう

詩:何!

佑真:俺、愛してるって言葉にしちゃうと、詩のこと愛おしいって気持ちが溢れて、止められなくなるの

詩:!

佑真:だから、いろいろ覚悟してね?

詩:やっぱりいつもは言っちゃダメ!



―幕―




2021.08.31 ボイコネにて投稿

2022.07.07 加筆修正・HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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