【詳細】
比率:男1:女1
現代・ラブストーリー
時間:約5分
【あらすじ】
大晦日。
もうすぐ年が変わろうとする時間。
時計を見ながら梢は時の流れの早さを感じます。
一年が早いと感じるのは歳をとった証拠だと言うけれども……
【登場人物】
梢:(こずえ)
平太の妻。
一年が過ぎるのが早いと感じてしまっている。
平太:(へいた)
梢の夫。
どんな梢でも大好きで彼女を甘やかしたくて仕方がない。
●自宅・夜
ご飯を食べ終わり炬燵でゆっくりしている梢。
梢:今年もあと少しか……なんだかんだで早かったな~
平太がコーヒーを淹れてくる。
平太:よっと。梢、お待たせ~
梢:あ、平太
平太:ほい、こっちが梢の分のコーヒー
梢:ん、ありがとう
梢、自分のマグカップを受け取る。平太、梢の向かいに座る。
平太:で、どうしたの?
梢:え?
平太:さっき時計眺めながら遠い目をしてたから
梢:遠い目? 嘘でしょ!
平太:いや、ほんと
梢:……私もそんな顔をする年齢になってしまったか……(テーブルに突っ伏す)
平太:梢?
梢:ん~?
平太:本当にどうしたの?
梢:いや、今年も一年早かったな~って……
平太:そうだね~
梢:で、私もそんなことを考えながら遠い目をするようになってしまったのだなって……
平太:ん? ごめん、どういうこと?
梢:うんとさ、一日が早いって感じるのって歳を取った証拠だってよく言うじゃん?
平太:あぁ、そう言えばそんなこと聞いたことあるな
梢:でしょ? ってことはだよ? 一年が早いな~って感じるってことも歳を取ったって証拠になるでしょ?
平太:あぁ、そういうこと
梢:そう……はぁ……(再度机に突っ伏す)
平太:それで落ち込んでいたと?
梢:……はい
平太:(笑う)
梢:え? ちょっと、平太?
平太:あぁ、ごめん。梢があまりにも可愛いこと言うから、微笑ましくて
梢:え? 何が?
平太:だって、一年が早いって感じて、それが歳をとったせいだって落ち込んでたんでしょ?
梢:そうだよ……
平太:微笑ましいじゃん
梢:どこが! 私は真剣に悩んでたの! 女性にとっては切実な問題で……
平太:(笑いながら)うん
梢:もう! 知らない!(顔をぷいと背ける)
平太:ごめん
梢:知らない!
平太:ごめんって
梢:……
平太:梢?
梢:……
平太:こ~ず~え~?
梢:……知らない
平太:もう……
平太、立ち上がり梢の後ろに回り込みまた座る。
平太:(そっと後ろから梢を抱きしめ)梢、機嫌直して?
梢:……
平太:何したら許してくれる?
梢:……もっとぎゅーして
平太:はいはい。仰せのままにお嬢様
梢:(笑って)ちょっ、何それ?
平太:お、やっと笑ってくれた
梢:……あ
平太:梢
梢:(不貞腐れて)……何?
平太:大好きだよ
梢:ど、どうしたの、急に?
平太:ん? どうもしないよ。俺が言いたくなったの
梢:……ん
平太:ねぇ、梢。梢は、一年が早く感じるのは歳をとったからだって言ってたじゃん?
梢:うん
平太:でもさ、それってこうも考えらえない?
梢:なに?
平太:この一年が早かったのは、一日一日が充実してて、楽しかったことが多かったんだって
梢:え?
平太:楽しい時間ってあっという間に過ぎちゃうでしょ?
梢:うん
平太:それと同じでさ。毎日が楽しくて充実してたから、一年が早く感じられたんじゃないかなって
梢:そんな風に考えたことなんてなかった……
平太:そう考えたらさ。一年が早いって感じるのってすごくいいことじゃない?
梢:確かに……
平太:でしょ?
梢:うん! 平太、ありがとう!
平太:どういたしまして。でも、俺の方こそありがとうだよ?
梢:え?
平太:だって、梢がそういう風に思ってくれるってことはさ? 俺との生活が楽しいって思ってくれてるってことでしょ? だから、ありがとう
梢:……平太。ううん、違うよ
平太:え? ち、違うの?
梢:違うよ
平太:……俺、年の瀬なのに凹みそう……
梢:(微笑んで)だって
平太:だって?
梢:平太との生活は楽しいだけじゃなくて、幸せなんだもん!
平太:梢!
平太、更に強く梢を抱きしめる。
梢:きゃっ!
平太:梢、愛してる。俺の隣にいつもいてくれてありがとう
梢:こちらこそ、私の傍にいてくれてありがとう。来年もよろしくね
平太:あぁ、よろしくな
―幕―
2020.12.31 ボイコネにて投稿
2022.11.28 加筆修正・HP投稿
お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
0コメント