優しい君を甘やかす方法


【詳細】

比率:男1:女1

現代・ラブストーリー

時間:約10分


【あらすじ】

「今日は家に来ないで」

彼女から入った突然のメッセージ。

いつもの彼女とは違う文面に違和感を覚え耕平は彼女の部屋へと向かう。

そこにいたのは毛布にくるまりソファーに座る彼女だった。



【登場人物】

耕平:(こうへい)

   20代。美波の彼氏。


美波:(みなみ)

   20代。耕平の彼女。





●美波の部屋・夜

   電気が消えて真っ暗な部屋。

   ソファーがあり、美波が毛布にくるまって座っている。

   玄関が開き、耕平が帰ってくる。


美波:……っ……

耕平:(小さな声で)お邪魔しま~す。うわっ、暗っ! 電気、電気……

   (電気をつける)よし……うわっ! なんだ、こっちの部屋にいたの?

美波:……

耕平:てっきり、寝室にいるかと思った

美波:……ごめん……

耕平:急に電気つけちゃってごめん

美波:……ううん、大丈夫だよ……

耕平:……

美波:……

耕平:それで?

美波:え?

耕平:どうしたの?

美波:えっと……何が?

耕平:急に、「ごめん、今日は家に来ないで」とか、びっくりするじゃん

美波:……あぁ、ごめん……ちょっと具合悪くて……

耕平:……

美波:耕平に迷惑かけるの嫌だし、何かあってうつすのもよくないなって思ったからさ……

耕平:ふ~ん?

美波:……来ないでって言ったの

耕平:なるほどな

美波:だから、帰って……

耕平:(遮って)じゃあ、とりあえず、美波はベットに行ってて

美波:え?

耕平:確か、お米はあったよな。卵はこないだ二人で買い物行って買ってきたしあるだろ~?

美波:ちょっと……

耕平:他には何か食材ってあったけ? あぁ……いっつもその二日三日分くらいの献立しか考えないで買い物するからな~、期待は出来ないか……

美波:ねぇ!

耕平:ん?

美波:私、具合悪いって言ったよね?

耕平:言ったね

美波:帰ってって言ったよね?

耕平:言ったね

美波:なら……

耕平:帰らないよ。このまま放っておいたら、美波はご飯食べなさそうだからダメ。食べなかったら、治るもんも治らんでしょ? さぁ、美波はさっさとベットに行った行った

美波:ちょっ!

耕平:どうせ昨日の夜から何も食べてないんだろ?

美波:ねぇってば!

耕平:だから何?

美波:だから!

耕平:本当に帰ってほしいの?

美波:……え?

耕平:本当に帰ってほしい?

美波:……うん……

耕平:(ため息)

美波:……っ……

耕平:ばーか。もう!


   耕平、ソファーに座る美波を抱きしめる。


美波:……え?

耕平:俺に嘘つくなんて100年早い

美波:え?

耕平:お前、風邪なんてひいてないだろ?

美波:……

耕平:バレバレだっての。風邪ひいてるのに声はふつう、鼻水も出てない、だるそうでもないし、熱もなさそう。しかも、こんなソファーの上で毛布にくるまって座ってるなんて……本当に風邪ひてたら、美波はしないだろ?

美波:そんなこと……

耕平:それに、風邪ひいたなら風邪ひいたって美波はちゃんと言う。「今日は家に来ないで」なんてぶっきらぼうな連絡してこない

美波:……

耕平:俺には嘘は通用しません

美波:……なんで……

耕平:そりゃ、美波のことずっと見てたらわかる。で? 本当に帰ってほしい?

美波:……え……

耕平:美波が本当に一人になりたくて、帰ってほしいなら、俺は帰るよ。誰かが傍にいる方が今は辛いってことだってあるだろし。でも、傍にいてほしいって思ってくれてるなら傍にいる。どうする?

美波:……っ……(弱弱しく耕平の服の裾を掴む)

耕平:ん、じゃあ、一緒にいる。よし、じゃあ、とりあえずご飯を……

美波:やだ……

耕平:え?

美波:やだ

耕平:えっと、美波さ~ん? 放してくれないと何もできないんだけど…

美波:やだ

耕平:ちょ、ちょっと? 急にキャラ変わってるよ?

美波:嫌だ

耕平:(ため息)もう、仕方ないな……

美波:……耕平?

耕平:なに?

美波:……ありがとう……

耕平:いいえ、どういたしまして

美波:……ちょっと、不安になっちゃって……

耕平:うん

美波:……何がって具体的にあるわけじゃないんだけど……たまにこうなっちゃうんだよ……

耕平:ん、そっか

美波:……ごめんなさい……

耕平:なんで謝るの?

美波:……結局迷惑かけた…

耕平:ばか

美波:え?

耕平:迷惑だなんて思わない。むしろ、嬉しいよ

美波:嬉しい?

耕平:そ、嬉しい。美波はいつも優しいし、気遣いしすぎなの。たまには、甘えてきなさいな

美波:ダメ……甘えすぎちゃうから……

耕平:(優しく微笑んで)そこは大丈夫でしょ

美波:え?

耕平:確かに、俺が忙しいときとかに「辛い」とか「かまって」って気持ちの押しつけをしてきたら、そりゃ迷惑だって思うだろうけど。美波はそんなことしない。そういう人じゃないって俺は知ってる

美波:……うん……

耕平:だから、迷惑とかない。それに、無条件に甘えられるのは彼氏彼女の特権でしょ? 違いますか?

美波:……うん……

耕平:わかればよろしい

美波:……ありがとう……

耕平:うん

美波:(嬉しそうに微笑む)

耕平:よかった

美波:え?

耕平:表情、やわらかくなった

美波:うん……

耕平:あ~ぁ、もう、ダメだ~

美波:え?

耕平:美波、やっぱり一緒に住もう

美波:え?

耕平:朝も昼も夜もずっと一緒にいて

美波:耕平……

耕平:いっぱい甘やかしたい

美波:……それは……

耕平:ダメ?

美波:……ダメ

耕平:(苦笑して)そっか

美波:すぐには無理だよ……いろいろしなきゃでしょ?

耕平:っ! もう!


   耕平、美波をギュッと抱きしめる。


耕平:じゃあ、次の休みは一緒に家探そう

美波:うん……

耕平:……今日は泊って行ってもいい?

美波:うん

耕平:美波

美波:なに?

耕平:愛してる


   優しくキスをする。



―幕―




2023.06.23 HP投稿

Special Thanks:JUN様

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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