もう一度キスを


【詳細】

比率:男1:女1

現代・ラブストーリー

時間:約10分


【あらすじ】

夜。お風呂上がりでまったりしていると突然電話が鳴った。

画面を見ると、そこには遠距離恋愛中の彼の名前。


七夕の夜。

彼女の元へ届けられたのは……



【登場人物】

香織:(かおり)

   20代。

   

達彦:(たつひこ)

   20代。




●香織の部屋・夜

   お風呂上がりでまったりしている香織。スマホが震える。


香織:ん? 電話?


   (スマホを見る)達彦? もしも〜し?


達彦:あ、香織、こんばんは

香織:こんばんは。どうしたの? 急に改まって

達彦:え?

香織:いつも電話してきて「こんばんは」なんて言わないじゃん

達彦:そうだっけ?

香織:うん。いつも「お疲れ〜」って話し始めるじゃん

達彦:あぁ、そうだっけ

香織:うん。なんかあった?

達彦:……どうして?

香織:ん〜、なんとなく?

達彦:なんとなく?

香織:女の勘?

達彦:女の勘って……こういうときに使うのか?

香織:さぁ?

達彦:さぁって……相変わらずテキトーだなぁ

香織:なによ〜?

達彦:まぁ、そんな香織が好きなんだけどな

香織:……本当に何かあった?

達彦:ん〜、なにも~?

香織:ちょっと、私の真似しないでよ

達彦:してないよ

香織:もう!

達彦:……なぁ

香織:なに?

達彦:最近はどう?

香織:急だね

達彦:いいじゃん。近況報告。最近、全然電話できなかったし……

香織:そりゃ、最近バタバタしてたから

達彦:主に俺がな

香織:私もだよ

達彦:そっか

香織:うん。う〜ん、最近か〜

達彦:うん

香織:あ! こないだ日向たちがさ〜

達彦:日向? 懐かしいな〜。元気にしてるか?

香織:元気だよ〜。元気すぎるくらい

達彦:そっか

香織:あ、久々に達彦にも会いたいって言ってた

達彦:あぁ、最後に会ったの去年の花見だもんな

香織:だね〜

達彦:それで?

香織:ん? あぁ、日向たちが今度キャンプ行こうって

達彦:キャンプか〜。いいじゃん、行ってきなよ

香織:ば〜か

達彦:え?

香織:日向は私と達彦の二人を誘ってるの!

達彦:……でも……俺、次いつそっちに行けるかなんて……

香織:知ってる

達彦:……

香織:だから、一年通していつでもやってるキャンプ場で、暑くもなく寒くもないところ探してって言っといた

達彦:……

香織:できる彼女でしょ?

達彦:なぁ、香織……

香織:なぁに?

達彦:……やっぱり、寂しいか?

香織:……

達彦:俺、なかなかそっちに帰れないし……連絡だってマメな方じゃないし……

香織:……

達彦:香織に寂しい思いさせてるって……

香織:(遮って)ば〜か

達彦:え……

香織:そんなんでダメになるような関係ならとっくにダメになってるっての

達彦:香織……

香織:達彦が忙しいことも、連絡がマメじゃないことも知ってる。なんなら、ちょっとしたことでもなんてメッセージ送ったいいんだろうって悩む人だってことも知ってる

達彦:……

香織:ねぇ、達彦?

達彦:なに?

香織:私、そんなにやわな女じゃないよ?

達彦:っ!

香織:そりゃ、寂しいときだってあるけど、それは私だけじゃないでしょ?

達彦:え?

香織:達彦だって寂しいって思ってくれてるでしょ?

達彦:……あ……

香織:(微笑んで)だから、大丈夫。私のことは気にしないで、さっさとお仕事片付けてこっちに帰ってこい!

達彦:……香織……

香織:ね?

達彦:……わかった……

香織:わかればよろしい!

達彦:なんだよ


   二人、どちらからとなく笑い合う。


香織:でも……

達彦:ん?

香織:ううん、なんでもない

達彦:そこまで口にしたなら言って

香織:……達彦……

達彦:聞きたい

香織:……こうやって急に声を聞いちゃうとさ?

達彦:うん

香織:……会いたくなる……

達彦:……

香織:(誤魔化すように笑って)今日が七夕だからかな? ほら、夜空の二人の一年に一度の逢瀬だから!

達彦:……香織……

香織:きっとそう! 今日、一日中七夕七夕〜って言ってるの聞いてたから!

達彦:……会いたい?

香織:え?

達彦:香織は今すぐに俺に会いたいって思ってくれる?

香織:達彦……だから……

達彦:素直な気持ち、聞かせて

香織:……会いたい……達彦に会いたい……

達彦:わかった

香織:ごめん! でも、これは!


   リビングへのドアがそっと開く。


香織:……え?

達彦:ただいま

香織:……たつ……ひこ?

達彦:うん

香織:なんで……?

達彦:来ちゃった

香織:来ちゃったって……仕事は?

達彦:今抱えてるのは全部片付けてきた。で、有休勝ち取ってきた

香織:……

達彦:驚かせてごめん。どうしても香織に会いたくて……


   香織、達彦に無言で抱きつく。


達彦:おっと……

香織:……ばか……

達彦:ごめん

香織:ばか、ばか、ばか

達彦:うん……

香織:……達彦だぁ……

達彦:うん、俺だよ

香織:……夢じゃない?

達彦:夢だと思う?

香織:思いたくない……

達彦:大丈夫


   達彦、香織にそっとキスをする。


達彦:ね? 夢じゃない

香織:うん。ねぇ、達彦? 今日が終わってもまだここにいてくれる?

達彦:もちろん。明日も明後日も……

香織:そっか……

達彦:その後は…あっちに戻らないとだけど……

香織:いい

達彦:香織

香織:今こうやって達彦がいてくれることが嬉しいから

達彦:……ありがとう……

香織:ねぇ、達彦……

達彦:ん?

香織:もう一度、キスしよ……

達彦:何度だって……


   二人、甘いキスをする。



ー幕ー




2023.07.12 HP投稿

お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)


紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

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