【詳細】
比率:男1:女1
現代・ラブストーリー
時間:約5分
【あらすじ】
とあるカップルの日常です。
夜。
動画を見ているとある言葉が耳に入ってきた。
聞き馴染みのないその言葉。
これはありなのか、なしなのか……
【登場人物】
寛明:(ひろあき)
夜にゆっくり本を読んでいた人。
和香:(わか)
夜に好きな配信者さんの動画を見ていた人。
●寛明の家
ソファーにもたれかかり動画を見る和香と本を読む寛明。
和香:(動画を見ながら)う~ん、ないわ~
寛明:(本を読みながら)何が?
和香:いやさ
寛明:うん
和香:寛明って、「嫌よ嫌よも好きのうち」って言葉、どう思う?
寛明:は?
和香:え? って、ちょっと、その「こいつ何言ってんだ?」って顔やめてよ
寛明:いや、急にそんなこと言い出したら、そうなるだろ
和香:そりゃそうか
寛明:そうだろ?
和香:うん
寛明:ご納得いただけたようで何よりです。で?
和香:え?
寛明:「え?」じゃなくて、なんで「嫌よ嫌よも~」って言葉に繋がったんだ?
和香:あぁ。さっき配信者さんの会話で出てきたの
寛明:配信者?
和香:そ、この人たち
和香、寛明にスマホを見せる。
寛明:あぁ、この人たち。最近、和香がよく見てる人たちだ
和香:うん
寛明:そこで「嫌よ嫌よも~」って言葉が出てきて気になったと?
和香:そう。で、寛明はどう思う?
寛明:どう思うって……何が?
和香:あぁ、ごめん。聞き方が悪かったね。寛明はこの言葉ありだと思う? それともなしだと思う?
寛明:いや、そもそもそれを使う状況よ……
和香:へ?
寛明:その言葉が産まれた経緯について俺は知らんけど、そもそもそれって男にとって都合のいい言葉だって思うんだよね
和香:ほう。その心は?
寛明:そのセリフを使うシチュエーションって、往々にして男が女の子をお持ち帰りしたとか、ナニをしたいときに使う言葉だろ?
和香:あぁ、まぁ、ねぇ
寛明:しかも、なんか相手に気持ちを押し付けてるみたいで嫌だわ
和香:押し付け?
寛明:そう。「嫌がってるけど、お前だっていいんだろ? 俺は知ってるぞ」って腹の中が見えてて嫌いだわ
和香:あぁ、言われてみれば……
寛明:まぁ、本当にそれがきっかけになって進展することもあるかもしれないけど。だったら、もうちょっと言葉を選べやって思うんだよ
和香:つまり、寛明としてはこの言葉は?
寛明:嫌い
和香:新たな選択肢出た
寛明:そういうお前はどうなんだよ
和香:え? 私?
寛明:そう。和香はこの言葉、あり? なし?
和香:う~ん……寛明のその考え聞いちゃうとなぁ
寛明:別に俺の考えは俺の考えだから。和香は和香の考えでいいだろ
和香:って、言っても、そもそもこの言葉、日常じゃ全く使わないじゃん? あったとしても友だちとの冗談の言い合いに使うくらいだし
寛明:あぁ。そうだな
和香:だから、どうって思うこともなくこれまで過ごしていたわけで
寛明:なるほど
和香:で、そこで寛明の考えを聞いて確かにと思いまして
寛明:はい
和香:なんか嫌だな~って思ったってくらいかな
寛明:そっか
和香:うん。あぁ、でも、このセリフを言う場面が、ご飯決めるとかの軽いノリの時ならいいかな~ってちょっと思ったけど
寛明:ご飯?
和香:そう。こっちのご飯が好きだけど、でも、こっちが好きって言ったら呆れられるかな~って迷ってる時とかに言われるなら……まぁ、ありかな~
寛明:……
和香:ん? どうしたの?
寛明:……いや、たまに思うんだけど、お前ってたまに天然発揮するよな
和香:え?
寛明:いや。なんでもない
和香:ん~?
寛明:まぁ、あれだ。俺とこれからも一緒に居る限りはそんな言葉使わないから安心してろ
和香:うん、わかった
寛明:おぉ、いい笑顔だ
和香:よくわからないけど、寛明とこれからも一緒に居られるってことはわかった!
寛明:……っ……お前ってやつは……
和香:ん?
寛明:前言撤回。お前にそのセリフを言うことはないけど、そういうこと言われるシチュエーションにはするわ
和香:え!
寛明:無自覚なお前が悪い
和香:えぇ!
―幕―
2023.10.14 HP投稿
お借りしている画像サイト様:フリー素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)
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