寂しい月末


【詳細】

比率:男1・女1

現代・ラブストーリー

時間:約5分


【あらすじ】

とあるカップルの日常です。

月終わりの夜。ジーっとカレンダーを見つめる睦美。

彼女がカレンダーを見つめる理由とは……



【登場人物】

弘樹:(ひろき)

   20代。睦美の彼氏。

   彼女のことが大好き。


睦美:(むつみ)

   20代。弘樹の彼女。

   彼のことが大好き。



●弘樹の部屋・二十三時すぎ

   ジッとカレンダーを見つめている睦美。


睦美:……

弘樹:ん? むーちゃん、どうしたの?

睦美:え?

弘樹:さっきから、ジーっとカレンダー見つめて

睦美:え? あれ? 私、そんなにカレンダー見てた?

弘樹:見てた。見てたって言うよりも、穴が開いちゃうんじゃないかってくらい睨んでた

睦美:え? そんなに!

弘樹:うそうそ。でも、すっごい見つめてたのは本当

睦美:びっくりした~

弘樹:それで、どうしたの?

睦美:え?

弘樹:何かあった?

睦美:なんで?

弘樹:う~ん、そんな気がしたから

睦美:(微笑んで)弘樹はすごいな

弘樹:え?

睦美:う~ん、大したことじゃないんだけど、聞いてくれる?

弘樹:もちろんだよ


   弘樹、睦美の隣に座る。


弘樹:お隣、失礼~

睦美:ふふふ、どうぞ~

弘樹:ん~、むーちゃんの隣はやっぱり暖かいね~

睦美:そう?

弘樹:そう! それで?

睦美:ん~、本当に大したことじゃないんだけどさ

弘樹:うん

睦美:今月もあと数十分で終わるなって思って

弘樹:うん

睦美:そしたら、なんか無性に寂しくなっちゃって……

弘樹:そっか

睦美:ごめんね。本当に大した理由じゃなくて

弘樹:ううん。ねぇ、むーちゃん

睦美:なに?

弘樹:はい、ぎゅー

睦美:(微笑んで)ぎゅー

弘樹:むーちゃんは本当にかわいいな~

睦美:……そんなことないもん

弘樹:(微笑んで)ねぇ、むーちゃんはどうして月末になると寂しいって感じるの?

睦美:う~ん、なんでだろ。たぶん、今月も終わっちゃうって思っちゃうからじゃないかな

弘樹:終わっちゃう?

睦美:うん。なんか物事が終わっちゃうってなんか寂しいって思っちゃわない?

弘樹:わからんでもないかも

睦美:だから、寂しいって思っちゃうのかも

弘樹:そっか

睦美:ごめんね。本当に大した理由じゃなくて……

弘樹:ううん。むーちゃんが不安に思ってること知れてよかったよ

睦美:ありがとう、弘樹

弘樹:(微笑んで)ねぇ、むーちゃん

睦美:何?

弘樹:こう考えたらどうかな? 終わっちゃうんじゃなくて、始まるんだって

睦美:始まる?

弘樹:そう、明日からまた新しいことが始まるんだって。何かが終わっちゃうんじゃなくて、何か新しいものが待ってるんだって

睦美:……新しいもの……

弘樹:そう考えたら、月末も寂しいって思わないんじゃないかな?

睦美:うん、そうだね! 新しいことが始まるって思うとすっごくわくわくする!

弘樹:でしょ?

睦美:うん! ありがとう、弘樹

弘樹:(微笑んで)どういたしまして

睦美:弘樹はすごいな~

弘樹:え?

睦美:だって、私の寂しいって思ってた気持ち、全部どっかに持ってっちゃうんだもん

弘樹:俺はすごくないよ

睦美:すごいの!

弘樹:(微笑んで)そっか。ありがとう

睦美:私、弘樹の彼女さんになれて本当に幸せ者だ!

弘樹:俺も、むーちゃんの彼氏になれて幸せ者だよ

睦美:ねぇ、弘樹

弘樹:何? むーちゃん

睦美:これからもこんな私ですがどうぞよろしくお願いいたします!

弘樹:こちらこそ、これからもよろしくお願いします!


   二人、顔を見合わせて微笑む。



―幕―



2020.11.30 ボイコネにて投稿

2022.10.05 加筆修正・HP投稿

紅く色づく季節

こちらは紅山楓のシナリオを投稿しております。 ご使用の際は、『シナリオの使用について』をお読みくださいませ。 どうぞ、よろしくお願いいたします!

0コメント

  • 1000 / 1000